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第11回塗装工事雑学講座

皆さんこんにちは!

株式会社彩笑、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~育成~

ということで、今回は、塗装業界の人手不足の背景、育成がうまくいかない理由、そして今後の対策について、現場の視点と経営の視点を交えて深く掘り下げていきます!

 

 

建物を美しく、そして長持ちさせるために不可欠な「塗装工事」。
しかし今、その塗装業界は深刻な課題に直面しています。

それが、「人材不足」と「育成の停滞」です。

 「若い人が入ってこない」
 「教えたいけど教える余裕がない」
 「せっかく育てても辞めてしまう」


塗装業界における人手不足の現状


① 高齢化と若年層の減少

  • 現在、塗装職人の約3割が50代以上

  • 20代の入職者は全体の1割以下とされており、次世代が育たない構造が続いています

このままでは、10年後に塗れる職人がいなくなるという声も現実味を帯びています。


② 3Kのイメージと職業魅力の不足

  • 「キツイ・汚い・危険」なイメージが強く、若手が敬遠しがち

  • 作業内容が見えにくく、「職人=将来が不安定」という誤解も根強い

技術力が評価されにくく、「塗装職人=つぶしがきかない仕事」と思われている現状があります。


③ 離職率の高さと定着しづらさ

  • 入社後1年以内の離職が多く、「思っていた仕事と違った」という声が多い

  • 教育不足や職場環境の未整備が、定着率の低下を招いています

 人材が「来ない」「育たない」「残らない」この三重苦が今の塗装業の現実です。


なぜ育たない?人材育成のボトルネック


OJT頼みの“感覚的教育”

  • 「見て覚えろ」「体で覚えろ」という指導が主流

  • 手順や技術が体系化されておらず、人によって教え方もバラバラ

 結果、新人が「何をどこまでできれば一人前なのか分からない」という状態に。


教える人が“教えられる人”ではない

  • ベテラン職人の中には、優れた技術を持ちながらも、言語化して伝えるのが苦手な方も多い

  • 忙しい現場で教育の時間がとれず、育成が後回しになる現場も少なくありません

 技術を「持っている人」と「教えられる人」は別物なのです。


 成長と報酬が連動しない評価制度

  • 「何年働いても給与が上がらない」

  • 「資格を取っても現場での扱いが変わらない」

  • モチベーションが下がり、離職につながる

キャリアパスや昇給制度が不明確だと、若手は「この先どうなるのか」が見えず不安になります。


人材を育て、活かすためにすべき5つの対策


 ① 教育ステップの“見える化”とスキルマップ導入

レベル 習得技術例
Lv.1 材料運搬、養生、基本的な道具の名称理解
Lv.2 ハケ・ローラーの基本操作、下塗り作業
Lv.3 中塗り・上塗り、仕上げのムラ調整
Lv.4 施工管理補助、安全管理、現場リーダー補佐
Lv.5 見積もり・お客様対応・現場全体の管理

 成長の段階と目標が見えると、やる気も定着率も高まります。


 ② 動画・写真・マニュアルによる“視覚教育”

  • ハケの動き、塗り方のコツ、養生のやり方などを動画や写真で解説

  • 「見て覚える」を、「見て学ぶ」に変える

  • スマホでいつでも復習できる環境を整備

若手世代には、“感覚”より“視覚”が響く時代です。


 ③ 教える人=“教育担当”の育成と評価

  • 教育担当者に「教える力」をつける研修を実施

  • 「誰を、どう育てるか」という計画づくり

  • 教えた実績を評価して、モチベーションもアップ

「教える文化」を現場に根づかせることが、育成の第一歩です。


 ④ 外国人・女性・中高年層など多様な人材の活用

  • 外国人技能実習生・特定技能者への多言語対応・文化理解

  • 女性でも働きやすい作業環境(軽量道具、着替えスペース)

  • 50代以降の未経験者を受け入れる「リスキリング」制度

多様な人材が活躍できる現場は、強い組織になります。


 ⑤ 働き方とキャリアの“未来像”を描く

  • 昇給・資格手当・役職制度の整備

  • 「3年後には班長に」「5年後には現場責任者に」という道筋を明示

  • 独立支援や法人化サポート制度の構築

「未来が描ける会社」は、若手にとって選ばれる会社です。


“塗装の魅力”を伝える取り組みも必要


塗装は、ただの仕上げではありません。
建物を守り、彩り、長持ちさせる技術です。

しかしその価値が、社会にも若者にも正しく伝わっていないのが現状です。

そこで、次のような取り組みが求められます

  • SNSやYouTubeを活用した職人のかっこよさの発信

  • 中学校・高校での職業講話やインターンシップの実施

  • お客様と塗装職人をつなぐ現場見学・体験イベントの開催

技術を“伝える力”も、次世代に受け継ぐための大切な仕事です。


育てることは「業界の未来をつくること」


塗装の仕事は、手に職を持ち、技術で勝負できる素晴らしい仕事です。
しかし、その未来を支えるには、「人を育てる力」が不可欠です。

明確な教育ステップ
教える人の育成
働きやすい環境とキャリアの見える化
多様な人材の受け入れ
業界全体での魅力発信

これらの取り組みが積み重なって、
「選ばれる塗装業界」「誇れる職人業界」へと変わっていきます。

 

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